夫婦共有名義住宅の総合不動産税は、もはや「共有名義なら無条件に節税できる」という一言だけでは判断しにくくなっています。2026年税制改正案で示された公正市場価額比率の差別化と居住割合に連動した控除方式が施行されれば、公示価格、実際の居住の有無、年齢、保有期間によって有利な課税方式が異なる可能性があるためです。
この記事は、2026年8月26日時点で改正案の仕組みと運営者提供のシミュレーションを分析したものです。税制改正案は確定した法令そのものではなく、法律改正と施行令改正の過程で内容・施行時期・計算方式が変更される可能性があります。
共有名義が自動的に1世帯1住宅者にならない理由
総合不動産税法上の1世帯1住宅者とは、原則として世帯員のうち1人だけが住宅分財産税の課税対象となる住宅を1戸所有している場合を指します。夫婦が1戸の住宅の持分をそれぞれ所有すると、財産税の課税対象者が2人になるため、この定義にはそのまま該当しません。
これは、夫婦が実際には住宅を1戸しか保有していなくても、法律上「複数の住宅を保有している」という意味とは異なります。正確には、総合不動産税における原則的な1世帯1住宅者の分類要件を満たさないという意味です。住宅数に関する日常的な表現、税率の適用、基礎控除の分類は、それぞれ区別する必要があります。
共有名義の夫婦には、大きく分けて2つの計算方式があります。
| 方式 | 計算の仕組み | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 個人別課税 | 各自の住宅持分についてそれぞれ計算 | 夫婦が各自で基礎控除を適用できるが、高齢者・長期保有税額控除の適用は制限される場合がある |
| 共有名義1住宅特例 | 1人を納税義務者とみなし、単独名義の1世帯1住宅方式で計算 | 1世帯1住宅の基礎控除と高齢者・長期保有税額控除を適用できるが、常に税額が低くなるとは限らない |
共有名義特例は、登記上の所有権を単独名義に変更する制度ではありません。持分はそのまま維持しながら、該当年度の総合不動産税の計算方式だけを異なる形で適用する制度です。
公正市場価額比率の差別化が重要な理由
総合不動産税の課税標準は、単純化すると次の仕組みで計算されます。
(保有住宅の公示価格合計 - 基礎控除)× 公正市場価額比率
その後、課税標準区分別の税率、財産税との重複分の控除、税負担上限、高齢者・長期保有税額控除などを反映して最終税額を算出します。したがって、公正市場価額比率が上がると、同じ公示価格と控除額でも課税標準が大きくなる可能性があります。
運営者提供の改正案によると、公正市場価額比率は2027年に70%へ引き上げられた後、2028年からは調整対象地域の単独名義1世帯1住宅者には70%を維持し、それ以外の住宅保有者には80%を適用する仕組みが示されました。原則的な分類上、共有名義の1住宅が「それ以外の住宅保有者」に含まれる場合、個人別課税ではより高い比率の影響を受ける可能性があります。
ただし、公正市場価額比率は、施行令を含む最終的な法令で確認する必要があります。地域の範囲、適用対象、施行年度についても、確定した公布文を基準に判断する必要があります。
実際の居住の有無によって変わる基礎控除
改正案では、単独名義1世帯1住宅者の基礎控除を12億ウォンから14億ウォンへ引き上げ、それ以外の住宅保有者には次の算式を適用する案が示されました。
4億ウォン + 5億ウォン × 全保有住宅価格に占める居住住宅価格の割合
この算式が共有名義者それぞれに適用されるという前提では、実際の居住の有無によって結果が大きく変わります。
| 共有名義1住宅の状況 | 1人当たりの控除例 | 夫婦合算の控除例 |
|---|---|---|
| 当該共有名義住宅に実際に居住し、居住割合が100%の場合 | 9億ウォン | 18億ウォン |
| 当該住宅を賃貸し、別の場所に居住して居住割合が0%の場合 | 4億ウォン | 8億ウォン |
| 共有名義1住宅特例を適用する場合 | 夫婦合算ではなく1世帯基準 | 14億ウォン |
表は、改正案の算式を50対50の共有名義1住宅に単純適用した比較です。実際の計算では、ほかの住宅の保有状況、持分比率、居住住宅の判定基準、公示価格の合算方式が影響する可能性があります。
特に共有名義住宅をチョンセまたは月払い家賃で貸し、別の場所に居住している場合、個人別課税の合算控除が18億ウォンから8億ウォンへ減る結果になる可能性があります。この場合、「共有名義者はそれぞれ9億ウォンずつ控除される」という従来の説明だけを信じて判断してはいけません。
低い公示価格でも特例が不利になる場合がある
共有名義特例では、高価格帯でのみ有利・不利が逆転するわけではありません。低い公示価格でも、個人別課税のほうが有利になる場合があります。
50対50の共有名義の夫婦がそれぞれ9億ウォンの控除を受けると仮定すると、住宅全体の公示価格が18億ウォンまでは総合不動産税の課税標準が発生しない可能性があります。一方、特例を選択して14億ウォンの基礎控除を適用すると、公示価格が14億ウォンを超える部分から課税標準が発生します。
運営者提供のシミュレーションでは、公示価格15億ウォンの住宅について、次の結果が示されました。
| 課税方式 | 総合不動産税の例 |
|---|---|
| 個人別課税 | 0ウォン |
| 共有名義1住宅特例 | 53,760ウォン |
これは、特例によって税額控除を受けられても、基礎控除の差のほうが大きければ、かえって不利になる可能性がある事例です。実際の税額は、該当年度の公正市場価額比率、財産税控除、税率を反映して再計算する必要があります。
中間価格帯と高価格住宅における有利・不利の逆転
運営者提供資料に含まれる2028年のシミュレーションでは、総合不動産税と財産税を合計した年間保有税を比較しています。具体的な税率と控除の適用条件がすべて公開された公式計算表ではないため、絶対的な基準点ではなく、仕組みを理解するための例として見る必要があります。
| 公示価格 | 特例適用時の保有税 | 個人別課税時の保有税 | 例における有利な方式 |
|---|---|---|---|
| 20億ウォン | 520万ウォン | 536万ウォン | 特例、16万ウォン低い |
| 30億ウォン | 1,042万ウォン | 1,141万ウォン | 特例、99万ウォン低い |
| 40億ウォン | 2,783万ウォン | 2,102万ウォン | 個人別課税、681万ウォン低い |
| 50億ウォン | 金額未提示 | 金額未提示 | 個人別課税が1,294万ウォン低い |
| 60億ウォン | 金額未提示 | 金額未提示 | 個人別課税が2,267万ウォン低い |
総合不動産税だけを比較した資料では、公示価格が約19億ウォンから31億ウォンの間では特例が有利で、約32億ウォンから個人別課税のほうが低くなる結果が示されました。総合不動産税と財産税を併せて比較すると、逆転する地点が変わる可能性があります。
このような逆転が生じる主な要因は、基礎控除と税額控除の上限です。改正案では、高齢者・長期保有税額控除の上限を2027年は800万ウォン、2028年からは600万ウォンに制限する内容が示されました。住宅価格が上昇して算出税額が増えても、控除額が上限で止まれば、特例の相対的な利点は小さくなります。
したがって、特定の公示価格を全国共通の確定した分岐点として使用してはいけません。持分比率、年齢、保有期間、実際の居住、ほかの住宅、税負担上限によって逆転する価格帯が異なります。